2012/10/10

戦う戦場ジャーナリストに会ってきた!!~西谷文和氏

大阪の某カフェにて。普段お茶目な西谷氏。
戦争を語る時の西谷氏の眼はあまりにも力強い。


「戦場ジャーナリスト」
多くの人はその名を聞いたことがあるでしょうが、

一体どんな人なのでしょうか。
インタビューしてきました!!

今回取材させて頂いたのは、
大阪在住の戦場ジャーナリスト、西谷文和氏。
大阪府吹田市職員を経て現職で活躍されている西谷氏は、
吹田市職員時代からジャーナリスト活動を
行っておられるとのこと。

第一印象は
「オーラがバチバチしてます!!」

9月20日にシリアから帰国した西谷氏、
それでは早速インタビューです!!



政治com(以下、政):
先ず、現在シリアでは何が起こっているのかについてお聞きしたいのですが。

西谷文和氏(以下、西):
現在シリアでは、大量虐殺、それも無差別空爆がですね、行われております。圧倒的な軍事力をアサド軍が持っています。
国民の支持は自由シリア軍に大分傾いているんやけれど、
戦闘機、戦車、そしてロケット弾による、まぁ主に制空権をアサド軍が持っている。
だから、自由シリア軍が地上戦で押し込んで行っても、空爆でまたとられているという、、

アレッポの街で攻防戦を今やっているんやけど、地上戦では自由シリア軍の方が有利に進めていますわ、兵士の数が圧倒的に違うんで、、、、

ただ空爆で圧倒的に自由シリア軍が負けている。
まぁその中でアサド軍からすれば、自由シリア軍がどこにいるかわからんから、居そうなところを撃っているんやと思うけど、
それでいわゆる普通の商店街が破壊されたり、学校が破壊されたり、病院が破壊されたりしているんですね。

これはいわゆる人道的に戦争犯罪だし、絶対に止めなアカン状態に来ていると思います。

政:
最近トルコへのシリアからの空爆(5人亡くなった)が報道されていますが、シリア政府によるトルコ政府への対応に非常に白々しさを感ます。そのあたりについて西谷さんとしてはどう思いますか?

西:
あれはトルコやから問題なっているけど、レバノンにも撃っているんですよ。

レバノンはなんで問題にしないのかというと、レバノンはヒズボラ(イスラム教シーア派の政治組織)が強いから、そしてヒズボラとアサドは組んでいるので、レバノンで大きく糾弾することができない。

トルコでも同じ様にやったんだと思いますわ。だからこれは初めてではないということですよ。
つまり自由シリアと通じている人たちが国外にいるので、そこを撃っているわけです。

~~~

政:
西谷さんはイラクで劣化ウラン弾による悲惨な状況を日本で誰よりも見てきた人間の一人として、現在の原発に対するオピニオンリーダーたる一人だと思うのですが、その立場からの原発に対する思いを教えて頂きたいのですが。

西:
<劣化ウラン弾について>
イラクだけでなく、アフガニスタンでもものすごくガンの子供たちが急増しています。

んで、、、劣化ウランというとイラクというイメージがありますけど、それはなぜかというと、
2003年のイラク戦争で、アメリカは劣化ウラン弾を大量に使った、ということなんですが、実はアメリカは1991年の湾岸戦争から、イラク、ボスニア、コソボ、そしてアフガニスタン、そしてイラクと、、、、要は、この10年の戦争で必ず使っているんですよ。

これは軍事的に見て、戦車を破壊する、軍事的には優れた砲弾なのですが、
しかしまぁ、ウランが詰まってますから、放射能バラマクわけですけど、、、


戦争に勝利して、自分の兵隊を如何に死なさないで、先制攻撃で勝つかは、やっぱり空爆なんですよ。
その時より効果的に空爆をするためには、劣化ウラン弾っていうのはアメリカにとって非常に使い勝手のいい武器なんです。

国際条約でクラスター爆弾や地雷は禁止条約ができて(アメリカはもちろん調印してませんけど)地雷なんかは使わないことで譲歩できるけど、
劣化ウラン弾は、絶対に戦争の初期に必ず使わないと、米軍も軍事作戦上非常に困ると思うんですよ。


だからこれを通常兵器と開き直っているんでしょう。
結局、劣化ウラン弾のせいで、例えば生まれつき肛門が無いとか、生まれつき指がくっついているとかね。

そういう子供を僕は大量に見て、それは同じ症状がイラクでもアフガニスタンでも起こっているので、これは恐らく放射能の被害であろうと、僕は思いますが、、、、ただ、専門家が調査しないのでね、治安の問題があって。

だから早く専門家が調査して、戦争前と戦争後でどれだけ多くの子供たちのガンの人数が違うだとか、どれだけの死亡率が変わってきているだとか、そういうのは早急にしないといけないと思うけど、残念ながら国連が、かなりアメリカに影響されていて。

WHOはたしかまだ劣化ウランによる被害を認めていないんですよ。アメリカのパワーが強すぎるんでね。

だからどうしても、他の国が本気で止めにかかっていないというのが実態ですね。


で、福島の事故でも共通できるけれども、結局因果関係が証明できないということで逃げるんですよ。

ガンの子供が増えていても、それは劣化ウランとの関係というのを、証明するためには早急に調査しないといけませんが、その調査を、知ってか知らずかやらない。
まぁ、わざとか治安の問題でやらないのか、両方やと思いますけども、やろう思ったらできる思うねんけど、あえてサボタージュしていると思います。




<原発について>
で、原発との絡みで言えばね、そもそもなぜ劣化ウランが出てきたのかという事をもっとみんな知る必要がありますね。

というのは、天然ウランというのは、その辺に転がっているというわけではなくて(笑)、地中深くに眠っているというわけですよ。オーストラリアとかモンゴルの。わざわざ掘り出すわけですよ。なんで掘り出すと言ったら原発で燃やすために掘り出すわけです。

原発で燃やすためには、ウランという燃料が必要だから、天然ウランをわざわざ掘り出してくると、、、でも天然ウランはそのままでは燃えませんから、濃縮する必要がある。

だから日本の原発用のウランも、アメリカの原発用ウランも、アメリカの工場へ送られるわけですよ。アメリカの工場で天然ウランを濃縮し、濃縮する過程で絞りカスが出る。この絞りカスが劣化ウランだと呼ばれていて、本来はこれは原子力発電所のゴミですから、だから本来は安全に保管して、処分しないといけない。

そういうものですけども、これをリサイクルしたものが劣化ウラン弾。弾の先に詰めたものがね。なぜ弾の先に詰めたかというと、ウランというのは天然に存在する金属の中で最も重くて硬い物質の一つだからです。だからタングステンや鉛の弾より効果的に戦車を破壊する。

たとえばアフガニスタンでは、ビンラディンの隠れ家というのは地下20メートルとか言われていたので、地下20メートルまで到達する弾なんてのは、絶対に弾の先に劣化ウラン詰めているんですよ。いわゆるシェルターを攻撃するやつ。

そういう意味では軍事作戦上必要やったということと、原発があったから、その捨てるものとして生まれてきた金属をリサイクルしたということなんですよ。

だから日本でもアメリカでも、原発と戦争って別々に報道されるんやけど、原発と戦争ってのは、かなり裏で繋がっているんです

原発があるために、戦争の武器が出る、ここを抑えとかなアカンのです。

~~~

政:
それでは続いてなんですけれども、
現在、尖閣諸島の問題で、右極化する日本とか言われていて、少なからず戦争の方向に進んでいる。
それは全国民が感じているということで間違いないと思うんですが、しかし、
「はたして政治家が、本当に戦争の悲惨さを知って政治をやっているのか」と、、、
国政の一番大きな役割の一つとして外交というものがある以上は、やはりもっと政治家っていうのは戦争の悲惨さを誰よりも勉強して、知っていかないといけない立場だと思うのですが、その辺について何かあれば。
西:
いや、も~まさにおっしゃるとおりでね。1960年代、70年代の自民党の政治家っていうのは、恐らく太平洋戦争を知っていて、そしてアメリカとどう付き合うか、ということでやってたと思うんですよね。ところが今の安倍さんにしても橋下さんにしても、戦争を知らないでしょ?

で、よく口にされるのが、まぁ石原伸晃さんもそうかもしれませんが、中国を懲らしめなアカンとか、なんていうか軍事力を背景に交渉しないととれるものも取れないなんて事をおっしゃってますけど、

僕、イラクもシリアも、実際の戦争を見てね、経験しましたが
実際の戦争なんてそんな甘いもんじゃないんです!!
先月シリアのアレッポで、一晩で22発のロケット弾受けた時もそうですが、、、やっぱり人って死ぬわけですよ。ロケット弾で。

もちろんそういう戦闘行為が、もし尖閣で行われるのであれば、当然石垣島なんてのはミサイル攻撃のターゲットになりますよね。沖縄の人々がモロ危険を被らないといけない。

そして、日米安保でアメリカが出て行くかどうかと言うたら、

これ日米安保では軍隊出動させないですよアメリカは。尖閣は日米安保の範囲ですけど、でも実際に軍事行動をするかはアメリカ議会が決めますから。
あれぐらいの島では発動しないですよ。
アメリカ軍は。絶対に(苦笑)。

アメリカなんて、リアリズムの国ですからね(笑)、あんなちっさい島を守るためにね、米軍出動しませんて!(笑)。

だからアメリカ軍が守ってくれるなんてのは全くのマヤカシで、
どうしたら日本が中国に勝てるかというと、
これ残念ながら中国に勝てませんよ。
中国の軍事力の方が絶対に強いですわ。

例えば中国はレーダーに映らないステルス戦闘機っていうものを持ってますけどね、これなんかアメリカの一番良い戦闘機のF22 と同じレベルのものを既に持っているし、原子力潜水艦も持っているし。

今まだそういうことを知らない政治家がね、中国は人口も多いし大きな国だけど、軍事力は日本の方が上みたいなことを言っている人がいるけど、

言っとくけどそんな甘いもんじゃないですよ。
恐らく泥沼になるし中国勝ちますよ。

んで僕、先日中国のとある教授と話してきたんですけどね、中国の軍部というのは、60年間戦争をしていないので、軍隊の中では戦争をしたくて仕方がない人がいるらしいですよ。

恐らく、軍隊ってね、長年戦争をしないとね、やっぱり戦争をしたいやつが出てくるんですよ。武器も戦闘機も持っていれば。

でそういう意味では中国も現在かなり危ない状態にあるし、日本の安倍さんもかなり危ないことを言うので、
チキンレースの状態でどこまで突っ張るのか、
と言うことを僕は思うし、

また、その尖閣諸島の領有権で争って、日本と中国の経済がもつ強い繋がりが多少でも削がれると、どちらが国益に反するのかと、僕は思いますけどね。

だから外交で解決するべきです。

決着つけない方がいいと僕は思いますね。白黒つかないでしょこれは。日本は日本の主張があるし、中国は中国の主張があるので、これをこのまま突っ張っていけば、
「ほな軍事力で」ってことになってしまうと、お互い失うものは非常に大きいし、後々の世代から今の世代恨まれますよ。

政:
確かに僕もそう思ってました。しかし、日本ではそういうことを主張する識者があまりにも少ないと思うんですが、どうでしょうか?

西:
なんかねぇ~、、、
今テレビの中で勇ましいことを言ったコメンテーターの方がテレビ受けもするし、何か支持を得るような錯覚をしていると思うんですよ。

でもね、まどろっかしいかもしれないですけれど、話し合いで解決していくというのが、国際的なルールやし。まどろっかしいかもしれないけど、、、、。

あれでしょ?日本って、中国との結びつきが一番強いわけでしょ?貿易的には。

この尖閣の事件で、圧倒的多数の日本人が中国に行かなくなったし、また中国人が日本に来なくなったじゃないですか。

これだけでどれだけ損してます?旅行会社、電気店、土産物屋さん、ものすごい損失しているんですよ?(トヨタの9月の中国新車販売48%減少、を初め非常に多くの影響が報道されています)
石原都知事のために(笑)。

僕ね、石原都知事に賠償請求したらいいと思うわ。日本の旅行会社とか。それぐらいのことを彼はしたんやから。それぐらいの損失を与えたと思ってますよ。野田さんもね(笑)。

政:
実際、尖閣国有化はムキになってやったとしか思えませんもんね。

西:
外務省もっとしっかりしてほしいですよね。
本当の意味での国益考えてほしいわ。

政:
なにより、政治家が戦争の勉強をしないといけないってことですかね。

西:
だから僕ね、
橋下さんでも、安倍さんでも一緒にアフガニスタンでも行って、難民キャンプ連れて行きたいぐらい。
「戦争したらこんなんなりますよ。国民生活。」って。

シリアのアレッポ連れて行ったらびっくりすると思うわ。
いかにロケット弾が恐ろしいか。如何に射程距離が今長いか。
日本に届きますよ!?

そういう意味ではね、なんというかな~、(今の政治家は)机の上だけで考えてはるんですわ。実際に見てほしいですね。街が壊れる様を。だから、ある意味政治家が一番平和ボケしているのでは、って思いますね。

~~~

政:
ありがとうございました。それではこの辺りから西谷さんへの個人的な質問になるんですけれども。
西谷さんの著書「戦火の子供たちに学んだこと」を読ませて頂いて感じたことなんですが。
西谷さんは「他人の痛みを共感する力がものすごく強い」と感じました。
そのあたりについて育ってきた環境の中で何か思い当たることはありますでしょうか。

西:
ん~、そうなのかな~。
いやっ、自分では考えたことも無かったな~(笑)

なんやろな~、、う~ん。

あえて言うなら、労働組合の役員をやったりとか。学生自治会、まぁ燃えカスですけど、やったりとか。
あと障碍者の採用所にボランティアに行ったりとか、そういうことをやっていたんですよね。

その中で少しずつというか、、、、

例えば障碍者の採用所とかで言ったら、
養護学校を出て働く場所が無いから、障害者を採用している場所に、僕大学時代にボランティアサークル作って行ったんですよ。

やっぱり現場を見れば、一日100円ぐらいの日当で毎日内職しているわけですよね。それも汚い文化住宅の一室に集まってやってて。

聞けば、森永ヒ素ミルク(森永ヒ素ミルク中毒事件 - Wikipedia
一つを飲んで障害者になったと。
まぁそういう人もおられたので、そういう意味では、誰がそうなるかはわからん。たまたま運が悪くてそうなった。

んで社会はその彼を除外しているわけでしょ?
企業は絶対に採りませんよね?

そういう現場に行く中で、森永ヒ素ミルクのニュースが、現場にいれば自分の物になってきますよね?そうするとやっぱ「調べてみようか、勉強してみようか」とそういうことになった。


んで、さらに言うと、小さいときに家でそう言う話を母親から聞いたりとかしてたので、親の影響が大きかったのかもしれませんね。ベトナム戦争の話とか。そういう話題をしない家庭とかあるじゃないですか。うちはそういう話題してたんですよ。だから小さい時からのバックグラウンドがあって、

で、高校のときは受験で押さえつけられてたから、
開花したのは大学入ってからやね。


大学ってあの当時からシラケ世代だったんですけど、
僕の場合は、学生が何かせないと。っていうのはありましたよね。
若い学生が、時間あったりもしますから、こういうのに関わっていかなアカンっていうのは思ってましたけどね。
それはやっぱり、家庭環境がそうやったからでしょ、恐らく。

~~~

政:
それでは最後に、若者へ贈る座右の銘みたいなのがあれば頂きたいのですが。

西:
まず言いたいのは、「現場主義」
福島の、津波の被害、原発の被害のニュースを見て心を痛めている若者多いと思うけど、やっぱり行ってみることやね。

ほんなら津波の被害も見えてくるし、仮設住宅の子供たちの何割かは、しこりがあるんですよ。甲状腺に。

そのような家族もあれば、家も親も失っている子供もいる。そういう現場を直接自分の目で見るってのは、恐らく若い時に見ておけば、どんな仕事をするときにでも、プラスになると思うんですよ。

保育士なったり、看護師なったり、弁護士なったり、いろんな仕事あるけれども、
被災者を見て自分の仕事に生かす人と、そういうものをあまり知らないで仕事をする人とでは。やっぱり何か違ってくる。
人に対する優しさとか、仕事に対する前向きさとか。
やっぱり津波で流されて18歳で死んでしまった子のことを想うと、今自分はその人の分まで頑張ろうと思えるかもしれないじゃないですか。辛いことがあっても。


沖縄でもそうですけど、オスプレイが来たらうるさいんですよ。ものすごく。そこ行って聞いてみて、ここに寝ている人はこんなん寝られへんなと、だから「野田さんは来たんか?」と、そういう風に思うでしょうし、、、

そういう意味では、自分で行ってみて、見たり、壁にぶち当たったり、そういうことをする中で、自分のものにして欲しい。

(多くの人は)今ネットとかあって、便利だし、解ったような気になってるんですよ。

でもそうじゃなくて、現地に行ってみる。
若者の特権でもあるし、とにかくそういうことですよね。


あと座右の銘
「世界は苦難に満ちているが、それを克服する者にも満ちている」ってのがあってね。これはヘレン・ケラーの言葉なんだけど。

今苦しいことがいっぱいあるけど、ヘレン・ケラーさんだって乗り越えているわけだから。そして僕らはもっと条件がいいんだし、、、、

そういう意味では、この閉塞感あふれる社会を乗り越える。
そのためには現場に行く。
それが苦難を乗り越える一つの方法かもしれませんねぇ。

(インタビュー;2012.10.5)

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「現場主義」

誰もが知るこの言葉を
ここまで重く発することができる人間が、
はたして現在の日本にどれだけいるでしょうか。


湧き出すマグマの如きエネルギーを発する西谷氏。

そんな氏が最も恐れる国は、戦場ではなく家庭だとか。


閉塞感あふれる現代社会において、
西谷氏が発するメッセージは、
頭でっかちには無い
圧倒的な存在感を放っております。




CNN:イランがシリアの化学兵器支援




ユネスコ、シリア政府に非難声明